テコンドーの前蹴り アプチャギ
難易度 | ★☆☆☆☆ |
威力 | ★★☆☆☆ |
実用性 | ★★☆☆☆ |
テコンドーの蹴りの中で一番の基本で、一番始めに習う蹴りが、この「前蹴り」になります。
テコンドーでは「アプチャギ」や「アッチャギ」などと呼ばれています。
基本的には空手等の前蹴りと同じ動作ですが、空手と違うのは「足の甲」を当てるという部分です。
空手では親指の付け根部分で「押し込む」ように蹴りますが、テコンドーの場合は「叩く」感じに似ていますね。
膝を前に突き出します。
この時、軸足は45度程度外側に開きます。
これはバランスを取るためでもありますし、蹴る方の足をより前に出しやすくするためです。
後は、折り畳んでいた膝から先を伸ばし相手を蹴りあげます。
注意点としては、膝を突き出した勢いを殺さないよう、スムーズに伸ばすことです。
イメージは「ムチ」です。しなやかに蹴ります。
ここからは、知ってると得をする?うんちくです。
このアプチャギ(前蹴り)ですが、試合ではほとんどポイントを取れません。
なぜなら「地味」だからです。
冗談ではなく、ポイントの判断は「ヒット音」と「ダメージ」の2点ですが、主に「ヒット音」が大事です。
アプチャギ(前蹴り)は垂直な体の面に対し、水平な足の甲を当てる形になるため、ほとんど音が出ません。
なので、試合向けの蹴りではないのです。
ですが、実は次の2つの場合にはとても効果的な蹴りに変身します。
- 相手をリングから押し出したい
- KO狙い
1について、テコンドーの試合では2回リングから出ると1ポイントを取られます。
逆に言えば、相手を2回リングから突き出せば1ポイントゲットできるのです。
アプチャギ(前蹴り)は、蹴り方を少し変えて空手のように『突き出す』蹴りにすることで、相手を後方に蹴り飛ばすことができます。
(ヒットさせるのは足の甲ではなく、親指の付け根の肉厚の部分です。すくい上げるのではなく、前に押し込むように蹴ります)
消極的な蹴り方ではありますが、競技として考えれば有効な技です。
2については、上段蹴りに限ります。
ボクシングなどでもおなじみの通り、人間は頭部の攻撃に弱いです。
特に「アゴ」「口周り」は急所があるため、一撃必殺を狙えます。
テコンドーのヘッドギアはアゴの部分が空いていることも理由です。
また、回し蹴りのような横から蹴るタイプは、ガードが上がってさえいれば容易に防ぐことができます。
(縦に伸びる腕のガードは、横からの攻撃に非常に強いです。)
アプチャギ(前蹴り)は下から上に真っすぐ蹴り上げる軌道を取りますので、この腕のガードを潜り抜けることが可能です。
さらに、人間の視界は横に広く、縦に狭いという特徴があります。
試合等の興奮状態では、集中力を高めるためにさらに視界が狭くなりますので、なおさら縦方向の視界は狭くなります。
こういったことから、下から伸び上がってくる蹴りは見つけ辛く、また、普通の構えではとっさにガードできない可能性が高いため、弱点である頭部を狙うのにうってつけの技と言えるのです。
RP

2013/10/05 | 蹴り
RP
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